不安障害の脳は子供の頃から?

最終更新: 2019年6月14日


このページについて:子供の不安障害の脳を調べた研究を紹介します。どうも、大人の場合と同じ変化があるようです。


三つ子の魂百までと言われますが、皆さんの性格はいつから始まったと思いますか。

現在の年齢によってさかのぼる年数も違います。昔の記憶は薄れます。はるか昔の自分を、今さらになって振り返るのは難しいかもしれません。

多くの方は、子供の頃の特徴をいくつか残して大人になっていると思います。もちろん、成長するにつれて学ぶこともありますし、環境によって人となりが変わることもありますから、全く子供の頃のままではないでしょう。しかし、別人のように人となりが変わることも珍しいと思います。持って生まれた特徴は、なかなか変わりません。

精神疾患の研究でも同じことがいえます。不安障害という精神疾患の人は、不安になりやすいです。不安障害とは、パニック障害や全般性不安障害、社交不安障害など、いくつかの精神疾患を含むカテゴリーで、非常に多い精神疾患になります。

不安障害になったから不安になりやすくなる側面もないわけではありませんが、もともと不安になりやすいために不安障害になる側面もあります。私の個人的な経験論では、もともと不安になりやすい人が不安障害になることが多いように思います。

脳の根本的な異常を調べると、この辺りがはっきりするかもしれません。生来の性格的な特徴、ハードの問題を調べるために、脳自体を調べるわけです。

不安障害の脳を調べた研究では、脳の前頭前野という場所と、辺縁系という場所をつなぐ鉤状束という場所の神経の繋がり、神経ネットワークが不安障害に関係するという結果を出しています。これは、成人以降の人たちの研究ですが、この特徴は子供の頃から続いていたのでしょうか。それとも、不安障害になってから始まったのでしょうか。

これを調べるのは大変ですが、それにヒントを与えるような研究結果が発表されたので、ご紹介します。

今回ご紹介する研究には、8歳から12歳という幼い子供たちで、不安障害がある方が参加しました。その数、52人です。全員、精神科の治療薬は使っていません。この条件で、薬が脳に与える影響を除外できます。

この研究では、精神疾患がない同じ年頃の子供たち46人のデータを比較する上での対照群に設定しています。データを統計学的に解析する場合は、このように比較する対照群を作ることが必要なんです。両者のデータを比べることで、数字の意味を解釈するわけです。

さて、この子供たちの脳がMRIという機械の拡散テンソルという技術を使って調べられました。これにより、神経ネットワークの密度のようなものを調べることができます。注目する脳の場所は、先ほども言ったように鉤状束という部分です。

この結果、不安障害の子供たちは、対照群となる子供たちよりも、鉤状束の神経ネットワークが少ないことが分かりました。男女の性別による違いはなかったそうです。

先ほど言ったように、大人の不安障害でも鉤状束の神経ネットワークが少ないという結果がすでに出ています。つまり、大人の不安障害に見られる脳の特徴は、幼い子供の不安障害の特徴と一致したわけですね。

こうした研究結果から推測しますと、不安障害になりやすい脳の特徴は、子供の頃からずっと続いていたのではないかと考えられます。大人になってから脳が変化したわけではなくて、幼い頃の脳の特徴が関係するのです。もしかすると、生まれながらの特徴なのかもしれません。

今後は、子供の頃に脳をスキャンして、将来的に不安障害になりやすいか否かを見定めることができるようになるかもしれませんね。生まれながらの脳の特徴なのであれば、遺伝子との関連性も気になるところです。今後の研究に期待しましょう。

引用文献:Tromp DPM, et al. Altered Uncinate Fasciculus Microstructure in Childhood Anxiety Disorders in Boys But Not Girls. Am J Psychiatry. 2019.


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