• 斎藤 知之

双極性障害(躁うつ病)の症状

最終更新: 5月24日

双極性障害(躁うつ病)では、うつ状態、躁状態、混合状態などの様々な状態が存在し、認知機能障害も出現することがあります。ここで詳しく解説します。


横浜で双極性障害を治療するなら当院


双極性障害はうつ病と間違われることが多いのですが、うつ病とは治療法が違うため注意が必要です。双極性障害でうつ病の治療を受けると改善しなかったり、かえって悪化したりします。


双極性障害の治療はこちらで解説


双極性障害は、今のところ、症状から診断するしかない病気なので、しっかりと症状を評価する必要があります。うつ状態、躁状態、混合状態に分けて説明します。


うつ状態(うつ病エピソード)


双極性障害は、気分が上がったり下がったりする精神疾患で、気分障害の一種です。気分が下がる症状はうつ状態(抑うつ状態)と言いますが、うつ病と同じで、以下の症状が出ます。


  • 気分が落ち込む、悲しい

  • 何をしても楽しめない

  • 不安で仕方ない

  • やる気が出ない

  • 頭が回らず考えられない

  • 眠れない

  • 食欲がない

  • 辛くて死んでしまいたい


双極性障害では、こうしたうつ病の症状が出る期間が長いため、うつ病と間違われやすいのです。ただし、双極性障害によるうつ状態の場合、非定型症状といって、通常のうつ病と違う症状が出ることがあります。非定型症状は以下のようなものです。


  • 体が鉛のように重くなり怠くなったりする。

  • 食欲が増える。

  • 寝る時間が増える。

  • 気分が一時的に良くなる。


双極性障害の全てに非定型症状が出るわけではありませんが、こうした症状は双極性障害の診断のヒントになります。


また、双極性障害では、うつ病を何度もくり返すという特徴があります。うつ病を何度も再発している場合は双極性障害を疑います。うつ病を繰り返す時は双極性障害の他にも、うつ病と不安障害やアルコール依存症など他の精神疾患を合併している可能性や、ADHDなどの発達障害を合併している可能性、生活環境のストレスが強い可能性、家系的にうつ病になりやすいなど遺伝的な要素がある可能性、うつ病に関係する身体疾患を合併している可能性などを考える必要があります。したがって、総合的な評価が必要です。


躁状態(躁病エピソード)


双極性障害では、うつ状態だけでなく、躁状態(躁病エピソード)という症状も出ます。躁状態は、通常のうつ病と双極性障害を見分けるポイントになります。初めはうつ病と診断されていた人でも、しばらくして躁状態の症状が出現してくると、双極性障害に診断が変わります。躁状態とは、非常にエネルギーが高く、活動的な状態です。以下のような症状が出ます。


  • 気分が高揚する。

  • イライラして怒りっぽくなる。

  • 自信がわいてきて、なんでもできるような気がする。

  • 目標が高くなったり、仕事への意識が高まる。

  • 色々なアイディアが次々に浮かぶ。

  • 気が大きくなって、たくさん買い物をしたり金遣いが荒くなる。

  • 眠らなくても元気なままで、夜中もほとんど寝ることなく活動し続ける。

  • たくさん話すようになり、社交的になる。


人によって症状の出方は違いますが、なんとなく、お酒に酔った時と似ているかもしれません。躁状態は軽いものから重篤なものまで様々です。軽い躁状態を軽躁状態と言いますが、軽症と重症に明確な境界があるわけではありません。


重度の躁状態では、会話の内容が支離滅裂になったり、興奮して暴力を振るったり、妄想が出現したりします。双極性障害の妄想では誇大妄想が有名です。例えば、自分は過去の偉大な人物の生まれ変わりだとか、自分には超能力のような特別な力があるといった非現実的な事柄を本気で思い込むことがあります。


躁状態が軽いと異常とは思われにくく、患者さん本人も医師に症状を伝えないため診断できない場合があります。また、躁状態は比較的短く、うつ状態の方が長く続くので、躁状態は見逃されやすいです。しかし、躁状態を見逃すとうつ病と間違えてしまうので注意が必要です。


混合状態


1日のうちでもうつ状態と躁状態の両方が出現するような、激しく気分が変動する状態を混合状態(躁うつ混合状態)と言います。例えば、ずっと気持ちが塞ぎ込んでいるけど、急にイライラして怒鳴ってしまったり、急に楽しくなってハイになり、すぐにまた落ち込んだりするような、非常に情緒不安定な状態です。


うつ状態が主体で、時々、少しだけ軽い躁状態になるという場合もあります。こうなると、普通のうつ病と見間違えやすく、うつ病と誤解されてしまうことも少なくありません。


認知機能障害


双極性障害では、時に脳の知的な能力の障害である認知機能障害が出現することもあります。程度は違いますが、これは認知症の症状と同じで、下記のような症状です。


  • 記憶障害(特にワーキングメモリーといった瞬間的な記憶の障害)

  • 情報処理速度の低下

  • 遂行機能障害(順序立てて考えたり計画して実行する能力)


双極性障害では気分が安定している時でも認知機能障害が出ることがあります。また、最近の研究では、躁状態が重篤なケースで認知機能障害が出やすいという報告もあります(下記参照)。ただし、認知機能障害は全員に出現するわけではありません。双極性障害でも認知機能が正常な人もいますので、一概には言えません。ただ、こうした認知機能障害が出てしまうと、仕事や日常生活に悪影響を及ぼすことがあります。


甲状腺機能の病気との鑑別


症状の話ではありませんが、大事な点なので付け加えます。双極性障害では甲状腺の病気(橋本病、自己免疫性甲状腺炎など)が出現しやすいと言われます。甲状腺とは、喉にある臓器で、血液中にホルモンを分泌しています。このホルモンは精神にも作用します。甲状腺のホルモンの異常で、躁状態やうつ状態になることもあるのです。


甲状腺の病気によって双極性障害に似た症状が出ている場合は、双極性障害ではないので、甲状腺の治療で改善します。ただし、ちょっと分かりにくいですが、双極性障害になり、さらに甲状腺の病気が同時に発生することがあるのです。この場合は、双極性障害と甲状腺の病気の両方の治療が必要です。


双極性障害と診断するには、甲状腺の病気をチェックします。当院では血液検査で鑑別しています。


参考文献:

Bora E. Neurocognitive features in clinical subgroups of bipolar disorder: A meta-analysis. J Affect Disord. 2018

0回の閲覧

よりどころメンタル