• 斎藤 知之

双極性障害(躁うつ病)の治療

最終更新: 5月17日

ここでは双極性障害(躁うつ病)の治療について説明します。


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双極性障害の治療は薬物療法が中心ですが、うつ病の治療とは異なります。双極性障害はうつ病と間違えて治療されやすい病気ですが、うつ病の治療では双極性障害を改善させることができません。双極性障害とうつ病は症状によって見分けることができます。


双極性障害の症状についてはこちらで解説


双極性障害では以下のような薬が使われます。

  • 非定型抗精神病薬(クエチアピン、オランザピン、アリピプラゾール、ルラシドンなど

  • 炭酸リチウム

  • 抗てんかん薬(ラモトリギン、バルプロ酸、カルバマゼピン)

  • 上記の薬にSSRIまたはSNRIなどの抗うつ薬を組み合わせる


双極性障害の症状は多彩で、主にうつ状態、躁状態、混合状態に分かれます。症状で薬の使い方が少し違いますので、それぞれ解説していきます。


うつ状態の治療


双極性障害のうつ状態(うつ病エピソード)の治療には、非定型抗精神病薬(別名:第二世代抗精神病薬)が適しています。非定型抗精神病薬は脳のセロトニン受容体やドパミン受容体に作用し、様々な効果をもたらします。双極性障害以外にも、うつ病や統合失調症など様々な精神疾患に有効です。非定型抗精神病薬には、クエチアピン、オランザピン、アリピプラゾール、ルラシドンなど沢山あり、それぞれ長所、短所が違います。1つの非定型抗精神病薬が合わなくても、別の非定型抗精神病薬が合う場合も少なくありません。比較的に即効性があるのが長所です。


その他、ラモトリギンという薬も双極性障害のうつ状態に有効です。ラモトリギンはてんかんという病気の治療にも使うので、抗てんかん薬と呼ばれます。ラモトリギンは重篤な皮疹という副作用が稀に出現します。これは、投与初期に多いので、使い始めは慎重になります。また、急速に増量すると重篤な皮疹が出やすいので、ラモトリギンは数ヶ月かけて少しずつ増やし、皮疹が出ないか確認しながら使います。ラモトリギンは増やすのに時間がかかるため、すぐに効果を期待することができないのが弱点です。その代わり、ラモトリギンはうつ状態を予防する効果に優れています(後述します)。

双極性障害によるうつ状態は通常のうつ病と似ており、よく間違われます。しかし、うつ病と同じように抗うつ薬を使っても改善しなかったり、かえって落ち着かなくなったりと良いことがありません。特に、三環系抗うつ薬を双極性障害に使うと悪化するリスクが高いです。もし、双極性障害のうつ状態の治療に抗うつ薬を使うなら、SSRI・SNRIなどの比較的副作用が少ないタイプを、炭酸リチウム、抗てんかん薬、非定型抗精神病薬などと一緒に使います。


躁状態の治療


躁状態とは、躁病とも言いますが、とても活動的になったり、自信過剰になったり、怒りっぽくなったりする状態のことで、エネルギーにあふれている状態です。軽症の躁状態は軽躁状態と呼ばれます。双極性障害はうつ病の症状が長く続きますが、時々躁状態が出現します。


躁状態でも、アリピプラゾール、オランザピン、クエチアピンなどの非定型抗精神病薬が有効です。


また、炭酸リチウムという薬も使われます。炭酸リチウムは過剰に摂取するとリチウム中毒と呼ばれる危険な状態になるので、定期的に血液検査を行い、炭酸リチウムの血中濃度を調べ、過剰摂取ではないか確認する必要があります。また、炭酸リチウムは胎児に悪影響があるため妊娠中の女性には使えません。その他、腎障害やてんかん、重篤な心疾患などの病気がある人にも炭酸リチウムを使うことができません。


その他、バルプロ酸、カルバマゼピンなどの抗てんかん薬も躁状態の治療に使われます。炭酸リチウムと抗てんかん薬を合わせて気分安定薬と呼ぶこともあります。


混合状態の治療


混合状態とは、1日のうちでも、うつ病の症状と躁病の症状が混じり合い、激しく気分が変わる、情緒不安定な状態です。うつ症状の方が多いため、うつ病と間違われることが多いです。混合状態にどの薬が有効なのか調べた調査報告はまだ少ないのですが、非定型抗精神病薬が有効だというデータはあり、主に非定型抗精神病薬により治療されます。


維持療法


双極性障害は再発しやすく、病状が落ち着いた後は、再発予防の治療が必要です。これを維持療法と呼びます。維持療法をしないと、しばらくして気分がまた変動し始め、うつ状態、躁状態、混合状態などの症状が再発してしまいます。


維持療法として最も優れている薬は炭酸リチウムです。再発しやすい方は炭酸リチウムを使うと良いでしょう。ただ、上述のように炭酸リチウムを使うことができない場合があります。


双極性障害の維持療法で、2番目に推奨される薬は、ラモトリギンバルプロ酸などの抗てんかん薬です。特に、ラモトリギンは双極性障害のうつ状態の再発予防に優れています。


また、アリピプラゾール、オランザピン、クエチアピンなどの非定型抗精神病薬も維持療法に有効です。


薬の組み合わせ


双極性障害では1種類の薬だけで改善しない場合に、いくつかの薬を組み合わせることがあります。例えば、炭酸リチウムと抗てんかん薬や非定型抗精神病薬を組み合わせて使うことがあります。しかし、薬を組み合わせると副作用のリスクも増えるので注意が必要です。


薬物療法以外


双極性障害には、修正型電気けいれん療法という頭に電気を流す治療も有効です。修正型電気けいれん療法とは、脳に電流を流すことで、人工的にてんかん発作という現象を作り出す治療であり、うつ状態や躁状態を速やかに改善させる効果があります。ただし、全身麻酔が必要な大がかりな治療であり、入院しないとできません。また、修正型電気けいれん療法では、血圧や脈拍が大きく変動するため、心臓が悪い方や血管系の病気がある方は危険性が高いです。


また、双極性障害では、薬物療法と並行して精神療法も行います。うつ病と同じく認知行動療法が有効とされています。認知行動療法とは自分の認知、つまり物事の捉え方や考え方を見直したり、行動を変えたりする治療法です。誰しも多少は偏った考え方をしていますので、自分の考え方を見直すのは大事です。


生活リズムが乱れると双極性障害の病状が悪くなるので、生活リズムを乱さないように工夫したり、寝る時間や起きる時間を記録して、生活リズムを自分で確認することも大事になります。そして、ストレスの少ない生活を心がけることも大事になります。このような生活指導も双極性障害の治療には欠かせません。


双極性障害の治療の説明は以上です。よりどころメンタルクリニック横浜駅西口では双極性障害も適切に治療しています。よりどころメンタルクリニック横浜駅西口は横浜駅から徒歩5分の場所にあります。横浜で双極性障害を治療するなら当院までご相談ください。


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参考文献

日本うつ病学会治療ガイドライン-双極性障害

The World Federation of Societies of Biological Psychiatry (WFSBP) Guidelines for the Biological Treatment of Bipolar Disorders: Acute and long-term treatment of mixed states in bipolar disorder.

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