双極性障害による仕事への影響

最終更新: 5月12日

双極性障害は仕事に悪影響を与えたり、ミスを増やしたりします。双極性障害による仕事への影響について説明します。


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双極性障害は気分が上がったり下がったりする病気です。専門用語を使えば、うつ状態(抑うつ状態)、躁状態躁うつ混合状態(うつ状態と躁状態が混じり合ったような状態)などを引き起こす精神疾患です。

双極性障害になると職業能力に障害が出てしまい、普段通りに働くことができません。症状が重くなれば休職する必要も出てきます。それでは、双極性障害の症状により、仕事にどのような影響があるのか、それぞれの症状ごとに説明していきます。まずは、うつ状態の時の働きぶりについて話します。

双極性障害のうつ状態は、うつ病と同じ状態です。うつ状態になると活動性は低下し、頭が回らなくなります。集中力や記憶力が低下してミスが増えますし、優柔不断になって決断することもできません。どのような職種であっても、このような状態では普段通りの働きぶりは期待できません。中等度以上のうつ状態になれば、仕事は休まざるを得ないでしょう。

躁状態の時は、良い面と悪い面があります。躁状態では活動的になり、残業したり徹夜で働いたりなど、仕事量が増えます。社交的になって沢山の人と話すようになり、仕事の目標も高くなり、大きな夢に向かって頑張るようになります。アイデアも沢山思いつきます。こうした様子を見れば「あいつは頑張っているな」と評価する上司や同僚もいるかもしれません。

躁状態になると自信過剰になるため、自分でも「自分は仕事ができるやつだ」と思いこみます。自他共に仕事ができると認めるのであれば、良いことのように思えますよね。しかし、自分では仕事ができていると思い込んでいても、実際は空回りということもあります。躁状態になると客観的に自分のことを評価できなくなるのです。

躁状態になると論理が飛躍し、できないことでも可能だと思ってしまいますので、ひどい失敗するリスクが高まります。いわゆるリスクヘッジができません。アイデアは沢山出るのですが、非現実的だったり、合理性に欠けていたり、細かいところが考えられていなかったりします。もしかすると、芸術系の仕事では、ぶっ飛んだアイデアの方が高く評価される場合もあるかもしれません。ただし、合理的に物事を考えないといけない仕事は難しいでしょう。

お金の使い方も無計画になり、後先考えず無駄な出費をしてしまいます。無意味な出費は、商売において重大な問題でしょう。また、あちこちに意識が向いてしまい(注意転動性亢進)、一つのことに集中できません。これが仕事に悪影響を及ぼすこともあるでしょう。

躁うつ混合状態は、うつ状態も躁状態もあるような、非常に情緒不安定な状態です。躁状態とうつ状態の悪いところが重なりますから、とても仕事どころではありません。

つまり、双極性障害によりうつ状態、躁状態、躁うつ混合状態のどれが出現したとしても、仕事に悪影響が出る可能性が高いのです。気分が不安定で仕事がうまくできない期間は、休職も検討する必要があります。仕事をするためには、しっかりと治療して気分を安定させることが大切です。

また、最近では、双極性障害になると、気分が安定している時でも脳の機能に障害が出る可能性が指摘されています。計算したり、筋道立てて考えたりという脳の知的な能力のことを認知機能と言います。双極性障害では気分が安定している時でも認知機能が低下することがあるのです。これを認知機能障害と言います。

認知機能障害には色々なタイプがありますが、例えば、記憶力が悪くなったり、情報の処理速度が低下したり、順序立てて考えたり計画したりできなくなったり(遂行機能障害)、注意散漫になってミスが増えたり(注意機能障害)します。

最近の研究だと、重篤な躁状態が出現した人は認知機能障害が強いとか、幻覚や妄想などの精神病症状が出たことがある人は認知機能障害が強いというデータが報告されています(下記参照)。こうした認知機能障害が出てしまうと、頭を使う仕事や危険な作業を伴う仕事は難しくなります。

ただし、双極性障害の認知機能障害の程度は人それぞれで、認知機能障害が強い人もいれば、認知機能が正常な人もいます。経過には個人差が大きく、一概に双極性障害だから認知機能障害が出るとは言えません。

双極性障害ではまずは薬物療法によって気分症状を安定させることが先決です。気分が安定しなければ、働くことはできません。そして気分症状が改善してからも、再発させないために、薬による維持療法を行います。医師の指示に従い、内服薬を継続することが大切です。


双極性障害の治療について詳しく知る


双極性障害は何十年も続く慢性の精神疾患ですが、治療により症状は改善しますし、症状の出現を未然に防ぐこともできます。安定して働き続けるためにも、しっかりと治療することが大事なのです。

参考文献:

Bora E. Neurocognitive features in clinical subgroups of bipolar disorder: A meta-analysis. J Affect Disord. 2018.

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