ブレクスピプラゾールはうつ病に有効か


このぺーじについて:ブレクスピプラゾールという非定型抗精神病薬がうつ病の治療に有効かどうかを調べた研究を紹介します。


ブレクスピプラゾールは非定型抗精神病薬の一種で、アリピプラゾールに近い薬です。日本では統合失調症の治療として認められています。

非定型抗精神病薬は、他ページ(下記リンク)でもお伝えした通り統合失調症の治療だけでなく、双極性障害やうつ病などの治療にも用いられます。例えば、うつ病で抗うつ薬だけでは治療が難しい場合に、抗うつ薬に加えてアリピプラゾールを投与すると、うつ病の症状の改善が期待できます。これは抗うつ薬と非定型抗精神病薬を併用する治療であり、増強療法などと呼ばれます。

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それでは、ブレクスピプラゾールは統合失調症以外の治療にも有効なのでしょうか。日本ではまだ認められていませんが、海外ではブレクスピプラゾールがうつ病の治療に有効か調べる臨床研究が行われました。今回はこの研究について紹介します。

この研究では、うつ病の患者さんが対象です。当初は抗うつ薬による治療を行ったものの、十分な改善が得られなかった人が集められました。その中でランダムに半数を選び、抗うつ薬に加えて1日あたり2mgのブレクスピプラゾールを投与します(ブレクスピプラゾール投与群)。もう一方の集団はプラセボといって薬効のない偽物の薬を投与します(プラセボ投与群)。これはランダム化比較試験と言いまして、統計上のバイアス(偏り)が入りにくい臨床研究の方法です。

例えば、ブレクスピプラゾールが投与される集団と、プラセボが投与される集団で男女の比率や年齢に偏りがあると、その偏りが結果に影響してしまう可能性があります。ランダムに選出すれば、そうした偏りは生まれにくくなりますし、誰かが故意に偏りを作る可能性も無くなります。

さて、6週間後にうつ病の症状がMontgomery-Asberg Depression Rating Scale (MADRS)という、質問票によって評価されました。これは、アンケートのような形で回答してもらい、回答結果を点数化することで、うつ病の症状の強さを評価するツールです。点数が高いほど症状が重いことになります。このような数値化するツールは、統計処理が可能になるというメリットがあるため研究ではよく使われます。

この数値結果を統計的に解析した結果、ブレクスピプラゾール投与群の方がプラセボ投与群よりも、うつ病の症状が改善していたとのことでした。統計学的にはっきり意味があると言えるほど差が開いていました(有意差あり)。特に、抗うつ薬があまり効かなかった人たちに対して、ブレクスピプラゾールが有効だという結果が得られたようです。

また、不安症状をもつ人たちにもブレクスピプラゾールが有効でした。うつ病で不安症状が強い場合は、重症化したり、治療が長期化したりしやすいのですが、そういう方にも有効というのは良い話です。特に副作用が多いということもなかったようです。

こういう研究結果が続けば、ブレクスピプラゾールがうつ病の治療に使われる日も遠くないかもしれません。今後の研究に期待しましょう。

引用文献:Hobart M, et al. A Randomized, Placebo-Controlled Study of the Efficacy and Safety of Fixed-Dose Brexpiprazole 2 mg/d as Adjunctive Treatment of Adults With Major Depressive Disorder. J Clin Psychiatry. 2018.

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