ガンと心


このページについて:癌、悪性腫瘍が心、精神にどう影響するのか、様々な角度で解説します。緩和ケアとも関わりが深い内容です。


悪性腫瘍、癌といった病気は未だに私たちの命を脅かす恐ろしい病気です。もちろん、早期に発見して治療すれば治ることもありますし、抗がん剤や放射線治療の進歩は目覚ましく、癌の治療はどんどん進歩しています。しかし、未だに多くの人が癌によって亡くなっているのが現実です。

ほとんどの人は癌と診断された時にショックを受けるでしょうし、不安感、恐怖感、怒りなど様々な感情を抱くはずです。こうしたことから、うつ病や不安障害になる方もいます。

ただ、確かに診断された時の精神的ショックも問題なのですが、癌は長い闘病生活が必要になる病気ですので、長期的なストレス、慢性的な苦悩が続くことも問題になります。むしろ、心理的ストレスというと、長きに渡るものの方が辛いという方が多いと思います。癌は治療に時間がかかることもありますし、手術などで治療した後も、再発の不安がつきまとうことになります。

癌の闘病生活には支えが大事です。心理的に支えてくれる家族や友人の存在は大きいでしょうし、経済的な支えも必要です。仕事を続けられるかどうかも大事な点でしょう。仕事も生活の支えになるのです。また、重症の方は福祉のサービスも利用可能です。このような社会的な支援、サポートの有無で闘病生活のストレスは大きく左右されます。

さて、精神的ストレスについて記載しましたが、癌になった後に精神状態が悪くなった場合、単純にストレスだけでは片付けられません。例えば、癌により炎症が起き、そのせいで発熱や怠さ、倦怠感が出ることがあります。ようは体調不良が続くわけで、これによりうつ病になる方もいるでしょう。最近では炎症がずっと続くと脳内のセロトニンが減る可能性も分かってきており、これがうつ病などの精神疾患を産む可能性も考えられています。また、炎症が強くなると、せん妄といって認知症のような症状が出たり、幻覚が出たりする病気になることもあります。これらは、かなり生物学的、物理的なメカニズムにより発生する精神疾患です。

また、癌による痛みも精神状態を悪くする原因になります。一部の癌では、かなり痛みが出るものがあります。また、癌の手術をした時に、手術した部分が痛むこともあります。誰だって痛みが続くのは辛いものです。こうした痛みが精神状態を悪化させている場合は、痛みをコントロールすると精神状態が良くなります。

また、癌患者さんの苦しみは、癌自体から来るものだけではなく、治療から来るものもあります。特に抗がん剤の治療に伴う苦しみは、しっかりと考えないといけません。抗がん剤は様々な種類がありますが、毛が抜けたり、吐き気がしたり、皮膚が荒れたりなど、様々な副作用が出ることもあります。こうした副作用に耐えきれず、心を病む人もいます。また、麻薬系痛み止めのモルヒネなどでも吐き気の副作用が出ることもあります。吐き気の副作用によって食事が減ると、栄養不足になることもあります。一途のビタミンが不足すると、うつ病などの精神疾患になりやすくなることも分かっています。こうして副作用の連鎖が起きることもあるのです。

このように、癌患者が心を病む場合、様々な要因が考えられます。うつ病や不安障害などになってしまい、精神科で治療を受ける時は、単に精神科的な薬を飲めば良いというわけではなく、原因に応じた対応が必要になります。このため、癌患者さんの精神状態に対応する精神科医は、様々な要因を多角的に評価しながら診療する必要があるのです。

また、これは緩和ケアにも関係が深い内容です。日本の緩和ケアチームでは、疼痛を和らげる医師や精神科医の医師、看護師など多分野の医療職が連携して診療しています。このシステムは多職種連携、チーム医療などと呼ばれますが、これは癌患者の苦痛を取るためには様々な角度から評価したり、治療したりする必要があるため多くの専門家を集めているのです。

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