大麻の子供の知能への影響


このぺーじについて:大麻が子供の知能にどう影響するのか、因果関係を調べた研究論文を紹介します。


今回は日本にあまり関係ありませんが、大麻の話です。大麻は有害性が低いということで、アメリカやカナダで解禁の動きがありますが、子供への有害性については、まだ分かっていない部分も多いようです。

大麻は脳に作用する薬物です。大人ならともかく、まだ未発達な子供の脳への影響は心配です。実は、大麻は子供の知的な能力に悪影響を及ぼすのではないかと言われています。

しかし、因果関係を考える時は、慎重にならねばなりません。「大麻のせいで知的な能力が低下する可能性」も考えられますが、「元々に知的な能力の低い子が大麻に手を出しやすい可能性」も考えられます。しかも、これはどちらか一つが正解というわけでなく、どちらも正解の可能性もあるわけです。

因果関係について調べる場合は、ある時点での統計だけでは無理ですから、ある程度の時間をかけて調べていく必要があります。こちらが先に起きてこちらが後に起きているというように、時間的な前後関係が明らかになれば、先に来たものが原因だろうと推測できます。

今回は大麻と知的な能力との因果関係を調べたカナダの研究論文を紹介します。こちらでは、毎年、4年間にわたって調査が続けられました。

調査対象は、3826人の中学一年生です。お酒や大麻の使用状況と共に、知的な能力が調べられました。

人間の知的な能力は、知能とか認知機能などと呼ばれますが、様々な領域に分かれています。ですから、知的な能力を評価する時は、それぞれの領域ごとに評価します。人によって、ここの能力は優れているけど、ここの能力は弱いというように、能力にはばらつきがあります。どこか一つの能力だけを評価して、「頭が良い」などという端的な評価はできないのです。

この研究では、記憶や知覚統合など様々な領域における知的な能力が評価されました。

その結果、アルコールや大麻を使用する子供は、全ての領域において、元々、知的な能力が劣っていることが分かりました。つまり、知的な能力が低いと、アルコールや大麻を手を出しやすい可能性が考えられるわけです。

ただ、それだけではありません。大麻を使い続けていると抑制する力(脳でストップをかける力)やワーキングメモリー(作業のため一時的に覚える能力)などの機能が更に低下していくことも分かりました。これは、アルコールでは見られない現象だったようで、大麻の方がアルコールよりも神経毒性が強いことが示唆されます。

先ほど、「大麻のせいで知的な能力が低下する可能性」「元々に知的な能力の低い子が大麻に手を出しやすい可能性」の二つを考えましたが、この研究結果から、どちらも正解だという可能性が見えてきました。

色々な国で大麻解禁の流れがあります。しかし、少なくとも子供に解禁するわけにはいかないようですね。

引用文献:Morin JG, et al. A Population-Based Analysis of the Relationship Between Substance Use and Adolescent Cognitive Development. Am J Psychiatry. 2018.

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