うつ病に関連する病気について説明します

最終更新: 2019年10月16日


このページについて:うつ病に間違えやすい精神疾患、うつ病を引き起こす病気や、薬の副作用でうつ病に似た症状が出ることなどを説明します。


精神疾患では気持ちが落ち込むものが多いため、うつ病なのか他の精神疾患なのかは区別が難しいこともあります。症状をよく確認し、本当にうつ病なのか、それとも他の精神疾患なのか見分けることが大切です。

特に見分けにくいのが、双極性障害によるうつ病(抑うつ症状)です。双極性障害とは、うつ病の症状の他に、躁病躁状態)というものが見られます。躁病の症状には、気持ちが高ぶる、イライラする、自信過剰になる、活動的になるなどがあります。うつ病と躁病の症状が交互に出る場合もあれば、混在していて、1日のうちでも両方の症状が出る場合もあります。双極性障害になると、うつ病とは別の治療が必要になるため、うつ病と双極性障害を見分けるのは重要になります。

また、統合失調症という幻覚や妄想が出る精神疾患の初期症状がうつ病に近かったり、認知症の初期症状がうつ病に近い場合もあります(後述します)。うつ病の診察では、過去から現在までの症状をあれこれと確認して、こうした他の精神疾患を鑑別していきます。

精神疾患は一つだけとは限りません。うつ病でもあり、不安障害でもあるなど、他の精神疾患を併せ持つこともあります。特に不安症状やパニック発作などの症状がある場合は、うつ病が重症化しやすく、自殺のリスクも上がるために注意が必要です。

その他、摂食障害(過剰にダイエットをしてしまったり、食べ過ぎたり吐いたりする精神疾患)や様々な依存症(これも後述します)など、うつ病を併発しやすい精神疾患はたくさんあります。

うつ病が先に起こり、後にこうした精神疾患を併発することもありますし、逆に他の精神疾患が先に起こり、しばらくしてうつ病も併発するという順序の場合もあります。

また、発達障害(自閉症スペクトラム、ADHDなど)も精神疾患の一つに分類されますが、発達障害の人はうつ病になりやすいことが分かっています。こうしたことから、うつ病の診察では幅広い精神疾患について評価が必要になるのです。

そして、うつ病に関係する病気は精神疾患だけではありません。体の病気も関係します。実は、うつ病から二次的に体の状態が悪くなることがあるのです。例えば、うつ病により食事が取れなくなると栄養障害になりますし、コルチゾールなどのストレスホルモンが上がって血圧や血糖値が高くなることもあります。つまり、高血圧糖尿病を悪化させるわけです。最近では、うつ病になると脳に炎症が起こる可能性も研究結果から示唆されています。また、うつ病になると運動する意欲がわかず運動不足になります。これが例えばリハビリの最中だと、リハビリする意欲が保てず、病気の回復が遅れるなどの問題も出ることがあります。

うつ病が体を悪くするだけではなく、逆に、体の病気がうつ病を引き起こす場合もあります。例えば、ホルモンの異常です。女性の場合、月経前更年期などにうつ症状を出すことがよくありますが、これはホルモンの影響だと考えられています。また、甲状腺ホルモン副腎皮質ホルモンなどの異常によりうつ病になることもあります。

その他には、葉酸欠乏など、ある種の栄養素の不足がうつ病を引き起こすこともあります。食事のバランスも大切ですね。

脳梗塞脳出血パーキンソン病レビー小体型認知症アルツハイマー型認知症など、様々な脳の病気がうつ病を引き起こすことがあります。うつ病自体が脳の病気ですから、関連性があるのは当然です。

他にも、全身性エリテマトーデス(SLE)などの免疫の病気(自己免疫疾患・膠原病)、癌などの悪性腫瘍、心筋梗塞などの心臓の病気がうつ病を引き起こすと考えられています。これには、病気になったショック、闘病の辛さなどの心理的な要素も影響していると思われますが、最新の研究結果を見ると、どうやらそれだけではなく、もっと直接的なメカニズムにより、体の病気がうつ病を引き起こしている可能性があるようです。免疫の異常や炎症が、物理的・生物学的にうつ病を引き起こすメカニズムが少しずつ明らかになってきています。

同じく物理的・生物学的な原因として考えないといけないものは、アルコールです。アルコールは睡眠を浅くしたり、情緒不安定にさせたり、認知症を引き起こしたりなど、様々な精神疾患の引き金になることが分かっていますが、うつ病の原因にもなります。その他、覚せい剤などの違法薬物も、精神状態を悪化させます。そして、精神状態が悪くなると、気持ちを楽にするためにアルコールや違法薬物に手を出しやすくなります。これが繰り返されると、依存症になり、なかなか抜け出せません。うつ病の人を診察するときは、アルコール依存症覚せい剤依存症などの可能性についても考えなければなりません。

副作用を考えるのであれば、病院で処方される薬にも言及する必要があるでしょう。例えば、インターフェロンという薬はうつ病を引き起こす副作用があります。ステロイド系の薬にもうつ病や、幻覚、妄想などの精神症状を引き起す副作用があります。

また、抗不安薬や睡眠薬の一種であるベンゾジアゼピンには、倦怠感や集中力の低下などの副作用があります。うつ病の人は不安が強いことが多いので、こうした不安を取り除くのにベンゾジアゼピンは有効なのですが、一方で、倦怠感や集中力の低下が悪化するリスクもあるわけです。倦怠感や集中力の低下は、うつ病の症状でもあります。このため、うつ病のせいで倦怠感や集中力の低下が出現しているのか、ベンゾジアゼピンの副作用なのか、判別が難しいこともあります。

さて、うつ病に関連する病気やその原因について解説してきました。とにかく大事なのは、うつ病に大元の原因がある場合を見逃さないことです。そのせいで二次的にうつ病が引き起こされている場合は、大元の原因を治療しないとうつ病も改善しません。うつ病を診察し治療するときは、こうした可能性もあることを忘れず、原因についてしっかりと考える必要があるのです。

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