• 斎藤 知之

強迫性障害の治療

ここでは強迫性障害の治療について詳しく説明します。


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強迫性障害の治療には、薬物療法(薬を使う治療)と精神療法(心理療法)があります。まずは薬物療法から解説します。


強迫性障害の薬物療法


強迫性障害の主な薬物療法は以下の通りです。


  • SSRI

  • クロミプラミン

  • SSRI+クロミプラミン

  • SSRI+非定型抗精神病薬


強迫性障害の薬物療法で最初に使われるのはSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬:Selective Serotonin Reuptake Inhibitor)という薬です。これは、脳内のセロトニンを増やす薬で、うつ病の治療にも使われるため、抗うつ薬とも呼ばれます。SSRIには、セルトラリン、パロキセチン、エスシタロプラムなどいつくかあります。


SSRIは少量から開始して数週間かけて徐々に用量を増やします。こうすることで、吐き気や眠気等の副作用を出にくくすることができます。また、SSRIは効果が出てくるのが遅く、2-3週間してから効果が出始めて、2-3ヶ月くらいに効果がかなりしっかりと出てきます。そのため、2-3ヶ月は使わないとSSRIの効果を評価できません。また、強迫性障害にSSRIを使う場合は、かなり用量を増やさないと効果が出ないことが多いです。SSRIを少量しか使っていないのに効果が無いと判断してはいけません


もしも、SSRIが全く効かなければ、クロミプラミンという薬を使います。クロミプラミンも抗うつ薬の一種です。クロミプラミンはSSRIに分類されることも、三環系抗うつ薬に分類されることもあります。また、ベンラファキシンやミルタザピンといった抗うつ薬を使うこともあります。


SSRIの効果は多少あるけど不十分という場合は、SSRIにクロミプラミンを組み合わせます。もしくは、SSRIに非定型抗精神病薬を組み合わせることもあります。非定型抗精神病薬は脳のドパミン受容体やセロトニン受容体といった部分に作用する薬で、統合失調症、双極性障害、うつ病、せん妄など、色々な精神疾患に使います。


また、最近ではグルタミン酸受容体に作用する薬も強迫性障害の治療に有効だという科学的なデータが出てきています。メマンチンやラモトリギンという薬の有効性が確認されているようです。しかし、日本では抗うつ薬以外の薬は保険上の認可が得られていないという問題があります。


再発予防の薬物療法


抗うつ薬を使って強迫性障害が改善したら、再発予防の治療に移ります。強迫性障害は再発しやすいので、1年間は抗うつ薬を減らすことなく使い続けます。病状が長期間安定し、もう薬が無くても大丈夫だと思われたら、抗うつ薬を減らします。ただし、抗うつ薬を急に中止すると離脱症状(中断症候群)として、めまいや吐き気などが出てしまいます。抗うつ薬を中止する時は、離脱症状が出ないように、数週間から数ヶ月かけて少しずつ用量を減らし、低用量になってから中止します。


強迫性障害の精神療法


強迫性障害の精神療法(心理療法)では、暴露反応妨害法が一般的です。曝露反応妨害法とは、あえて強迫観念を呼び起こすような状況に身を置いて、強迫行為を我慢するという方法です(強迫観念と強迫行為については強迫性障害の症状のページをご覧ください)。例えば、汚いと思うものをあえて触り、それでも手を洗わないで我慢するというやり方になります。これがうまくいけば、少しずつ強迫思考も強迫行為も改善していくのですが、我慢するのが治療の基本なので、少し大変な治療です。曝露反応妨害法を行う時は、段階的に負荷を強めます。焦って無理しないのがコツです。強迫性障害に認知行動療法を行う時も、曝露反応妨害法を組み合わせるのが基本です。なかなか精神療法だけで治療するのは難しいものです。精神療法だけで良くならない場合は、薬物療法と精神療法を組み合わせながら行います。


参考文献:

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