パニック障害へのベンゾジアゼピン

パニック障害に対する2つの治療薬、ベンゾジアゼピンSSRIを比べた研究を紹介します。


パニック障害は不安障害(不安症)の代表的な疾患で、不安や恐怖、緊張などの精神症状と、動悸、息苦しさ、発汗などの身体症状(自律神経症状)などを伴います。


不安や恐怖を和らげたり、克服するのが治療ですが、薬による治療では、ベンゾジアゼピンやSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)などが使われます。


選択肢がいくつかあると、どれが良いのか悩ましいものです。最近は、ベンゾジアゼピンを長期に使うと依存性、習慣性が出てきたり、耐性がついて効果が無くなったりしますから、なるべくSSRIを使うことが各学会などから推奨されています。


しかし、これはあくまで長期的な視点で考えたもの。短期的にはどちらが良いのでしょうか。今回は、短期的な治療として考えた場合、どちらが良いかを検討した調査報告をご紹介します。


これは、主に副作用に注目した研究ですね。


4-12週間の短期的な研究データを集めて分析したもので、メタ解析という手法による調査です。


これによると、短期的な副作用はSSRIの方がベンゾジアゼピンよりも多いという結果になりました。


SSRIの短期的な副作用としては、眠気、発汗、怠さ、吐き気、下痢、不眠などがありました。


一方、ベンゾジアゼピンの副作用は、眠気、記憶障害、便秘、口が渇くなどです。


また、性的な副作用としては、SSRIには射精障害が、ベンゾジアゼピンには性欲減退が見られました。


まあ、どちらの薬も副作用はありますが、問題は、ベンゾジアゼピンは即効性があるのですが、SSRIは即効性がなく、数週間から数ヶ月かけて少しずつ効果が出てくる薬なんです。


この研究でも、ベンゾジアゼピンは頻脈や発汗などの自律神経症状を早期に改善し、疲労感や不眠も改善したという結果が出たそうです。


つまり、短期的な効果はベンゾジアゼピンの方がSSRIよりも優れていて、副作用の面でもベンゾジアゼピンの方が優れているということです。


長期的に薬を使う場合はSSRIの方が良いとされていますが、短期的にはベンゾジアゼピンの方が良いのかもしれません。


パニック障害の治療は長期になるので、やはり長期的な視点で治療するのが大事に思います。しかし、患者さんとしては、できるだけすぐに治療してほしいでしょうから、悩ましいところです。


パニック障害の一般的な治療についてはこちらをご覧ください


引用文献:Selective serotonin reuptake inhibitors and benzodiazepines in panic disorder: A meta-analysis of common side effects in acute treatment. J Psychopharmacol. 2019.

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