心的外傷後ストレス障害(PTSD)の症状と治療について


このページについて:心的外傷後ストレス障害(PTSD)の症状や治療についてガイドラインを引用しながら説明します。


心的外傷後ストレス障害(PTSD: Post-Traumatic Stress Disorder)は、心的外傷(トラウマ)と呼ばれる強い恐怖体験、非常に辛い体験の後に起きる精神疾患です。トラウマとは、ちょっとしたストレスや嫌な出来事などではなく、死にそうになる、重傷を負う、性的暴力を受けるなど、心を強く傷つけるような強烈な体験を指します。

主な症状は、侵入症状といって過去の辛い記憶を思い出してしまう症状です。頭の中に勝手に入ってくるように、思い出したくなくても記憶が呼び覚まされてしまうため侵入的と表現します。思い出す時に、まるで過去の辛い体験が再び起きているような、現実から離れたような感覚に陥ることもあり、これを解離症状と呼びます。夜中に悪夢として過去の記憶が出てくることもあります。

また、心的外傷に関係するような事柄を避ける(回避)ようになります。意識的に思い出さないようにすることもあれば、無意識のうちに避けてしまうこともあります。思い出そうと思っていても忘れてしまって思い出せないこともあります。

PTSDでは、恐怖罪悪感などの感情から情緒不安定になったり、眠れなくなったりします。自分を傷つけたり、攻撃的になったりなどの行動を取ることもあれば、社会から孤立してしまうこともあります。

PTSDは症状が1ヶ月以上続く時に診断しますが、まだ1ヶ月未満の時は急性ストレス障害(ASD: Acute Stress Disorder)と呼びます。ただ、症状の持続期間が違うだけで、症状はPTSDと同じです。

治療は精神療法と薬物療法があります。精神療法では、過去の辛い体験にまとを絞った認知行動療法(考え方、捉え方の偏り、歪みを直す治療)や、眼球運動脱感作療法(EMDR: Eye Movement Desensitisation and Reprocessing)といって、過去の記憶をあえて思い出し、その後に目の運動を行って恐怖感を打ち消すような治療があります。ようは過去の辛い記憶を克服する治療ですが、治療過程の中で過去の辛い体験を思い出すため、恐怖感が非常に強まったり情緒不安定になったりする危険性があります。

薬物療法は、うつ病や不安障害の治療と同様に、SSRI(Selective Serotonin Reuptake Inhibitor: 選択的セロトニン再取り込み阻害薬)などの抗うつ薬を使用します。抗うつ薬は数週間かけてゆっくりと増量します。抗うつ薬の効果が出てくるのには増やしてからさらに数週間かかるため、効果が出てくるまで焦らないことが肝心です。なお、10代から20代前半の若い人に抗うつ薬を使うと自殺のリスクが高まることがあります。このため、若い方で自殺の気持ちや衝動がある方には、抗うつ薬の使用を控えることがあります。

抗うつ薬について詳しく知る

PTSDでは眠れなくなることも多いため、睡眠薬を使うこともあります。ただし、ベンゾジアゼピン系の睡眠薬などは長期に使い続けると依存性、習慣性が出てくるため、短期間の使用に留めるよう配慮が必要です。

ベンゾジアゼピンの依存性・問題点について詳しく知る

参考文献:

Post-traumatic stress disorder: management(NICE: 英国国立医療技術評価機構)

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