精神科の薬の強さ

最終更新: 5月18日

精神科の薬の強さを考える時は、薬ごとの効果、副作用を考え、用量も考慮します。薬の強さについて説明します。


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よく患者さんから「これは強い薬ですか?」という質問を受けることがあります。精神科の薬を単純に「強い」「弱い」で考えることはないので、この質問には答えようがないのですが、世間一般には薬を「強い」「弱い」で考える、漠然としたイメージがあるのだと思います。

強い薬というと、効果は強いけれど副作用も強いというイメージでしょうか。ただ、実際には、効果はそれほど強くないけど副作用は強い薬というものもあります。

統合失調症などの治療に使う抗精神病薬を例にあげて説明します。抗精神病薬には定型(第1世代)抗精神病薬と非定型(第2世代)抗精神病薬があります。定型抗精神病薬と非定型抗精神病薬の効果は同等と言われています。しかし、非定型抗精神病薬の方が副作用は少ないです。効果は同等で副作用が少ないわけですから、非定型抗精神病薬の方が推奨されています。

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つまり、効果と副作用は必ずしも比例しないのです。効果と副作用はあくまで別々に考えてください。

また、効果も副作用も用量によって変わります。一般的には、たくさん薬を飲むと効果は強まりますが、副作用も強まります。逆に言えば、薬の用量が少なければ副作用のリスクも下がります。用量をうまく調整すれば、効果はしっかりとあり、副作用のリスクは少ないという状況も作り出せます。

薬の用量はとても大事です。例えば、SSRIという抗うつ薬は、一定以上の用量まで増やさないと効果が出ません。あまりに少ない用量で使っていても効果は期待できないのです。しかし、量が少なくても副作用は出ます。つまり、薬の量が少なすぎると効果はないけど副作用で苦しむ可能性があるのです。

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だからといって、薬を増やせば増やすほど効果が強まるかというと、そういうわけでもありません。例えば抗精神病薬は、ある一定の量以上増やしても効果は上がらなくなります。薬の効果の天井、限界があるわけです。その限界を超えて薬を増やすと、効果は増えないけれど副作用のリスクは増えていきます。規定の用量以上を使うと中毒量に達し、命の危険にさらされる可能性もあります。しかし、中毒量まで増やしても薬の本来の効果は増えないので、ただ損をするだけです。


薬には種類に応じて適切な用量があります。それを無視して使うと意味がなかったり、リスクが高かったりするので、適切な用量で使うことが大切です。


他にいただく質問としては、「以前の薬は10mgだったのに、今回の薬は100mg使うなんて大丈夫?」という類のものです。実は、薬の種類が違うと用量の数字も違ってくるので、単純に100mgの方が強いなどとは言えないのです。Aという薬の10mgが、Bという薬の200mgに相当することもあります。


同じタイプの薬であれば、ある薬の量が、他の薬ではどのくらいの量に相当するかを計算する手段もあります。ベンゾジアゼピン系の抗不安薬や抗精神病薬などには用量の等価換算表があるので、それを用いて計算します。


例えば、アルプラゾラム0.4㎎はジアゼパム5㎎と同じ強さです。アルプラゾラム0.8㎎はジアゼパム5㎎より強いわけです。逆にアルプラゾラム0.2㎎だとジアゼパム5㎎より弱くなります。


こう考えれば、薬の種類で強さが決まるわけではなく、用量で決まることが分かると思います。


まとめると、


  • 薬の効果・作用と副作用は別に考える

  • 薬の種類と用量も考慮する

ということです。それぞれの要素を考えつつ、ベストな用量を使います。

ちなみに、薬の用法・用量を詳しく知りたい場合は、薬の添付文書を確認することを勧めます。薬の添付文書はインターネットで検索すれば見ることができます。

例えば、Aという薬の適切な用量を知りたければ、「A 添付文書」というように「薬の名前+スペース+添付文書」という組み合わせで検索すれば出てくるはずです。自分が使っている薬など検索してみてください。

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