• 斎藤 知之

統合失調症の症状と治療について説明します


このページについて:統合失調症の症状や治療についてガイドラインを引用して説明します。


統合失調症は10代後半から30歳くらいまでに発症する精神疾患です。実は人によってかなり症状に幅があります。統合失調症の症状は、陽性症状陰性症状認知機能障害に大別されます。陽性症状とは幻覚、妄想、興奮などを言います。このうち、幻覚、妄想は精神病症状とも言いますが、現実を正しく認識できなくなる症状を指します。陰性症状とは本来あるはずのものが欠けるような症状のことで、意欲が無くなる、感情が乏しくなる、外に出なくなるなどがあります。認知機能障害は認知症と同じ概念ですが、統合失調症の認知機能障害は記憶力の低下よりも、言語機能の低下注意機能集中力の低下、物事を順序立てて考えたり計画したりする遂行機能の低下などが目立ちます。

統合失調症の症状について詳しく知る

他の精神疾患でも統合失調症と似た症状を出すことがあります。例えば、対人恐怖が強まる社交不安障害は統合失調症の前駆期の症状と近く、鑑別が難しいことがあります。また、幻覚や妄想などの陽性症状も、統合失調症だけに見られる症状ではありません。例えば、強いストレスで一時的に幻覚や妄想が出る場合は短期精神病性障害と診断され、統合失調症とは区別されます。また、うつ病や双極性障害の症状として幻覚や妄想が出る場合もあります。中には双極性障害と統合失調症の両方の症状を持つ場合があり、これは統合失調感情障害と呼ばれます。統合失調感情障害は統合失調症の仲間として捉えられる病気です。その他では、自閉症スペクトラムなどの発達障害の方の中には、興奮した時に統合失調症の陽性症状に近い症状を出す人がいます。さらに、発達障害では陰性症状や認知機能障害に近い症状を持つ場合もあり、鑑別が難しくなります。

身体疾患でも、統合失調症と似た症状を出すことがあります。例えば、膠原病(免疫の病気)やホルモンの病気が幻覚や妄想などの症状を出すことがありますし、様々な脳の病気、例えば脳腫瘍や髄膜炎、自己免疫性脳炎なども統合失調症に似た症状を出す可能性があります。また、覚せい剤やLSDなどの薬物は統合失調症と似た症状を出します。こうした薬物は、日本では稀かもしれませんが、他の国では問題になることもありますね。

統合失調症の治療は、主に薬物療法であり、抗精神病薬というタイプの薬を使います。抗精神病薬は脳のドパミン受容体をブロックする薬で、これによりドパミンという神経伝達物質の力を抑え、幻覚や妄想などの陽性症状を治療します。ただ、残念なことに陰性症状や認知機能障害を薬で治療することは現時点では難しいです。現在のところ、陰性症状や認知機能障害に対しては、陽性症状が落ち着いた後に、リハビリテーション、トレーニングなどの治療を行います。

抗精神病薬には定型抗精神病薬(第1世代)非定型抗精神病薬(第2世代)がありますが、一般的には副作用が少ない非定型抗精神病薬から使います。非定型抗精神病薬には、ブレクスピプラゾール、アリピプラゾール、オランザピン、リスペリドン、パリペリドン、ブロナンセリン、ペロスピロンなどがあります。薬は飲み忘れたり、勝手に減らしたりすると効果が落ちますので注意が必要です。症状が落ち着いてからも、症状の再発を予防するために薬を使い続けていきます。

抗精神病薬について詳しく知る

上記の抗精神病薬により症状が収まらない場合には、クロザピンという薬を使うことがあります。クロザピンには無顆粒球症という血液の細胞が少なくなる副作用があるため、血液検査をしながら慎重に使います。

薬物療法以外には、修正型電気けいれん療法という治療もあります。これは、脳に電気を流して、てんかん発作という症状を人工的に作り上げる治療で、麻酔をして行います。修正型電気けいれん療法は即効性があり、興奮や躁状態、うつ状態などの気分症状を改善する効果に優れています。一般的には入院して行う治療です。

統合失調症の治療について詳しく知る

参考文献:

統合失調症薬物治療ガイドライン 日本神経精神薬理学会

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