統合失調症の治療について説明します


このページについて:統合失調症の治療をについて説明します。治療は薬が主体で非定型抗精神病薬が最も推奨されますが、効果が乏しい時はクロザピンも有用です。


統合失調症の治療は薬物療法が中心になります。精神療法(心理療法)を薬物療法に組み合わせるのは良いのですが、全く薬を使わないで治療するのは難しいです。

統合失調症を発症した時は、抗精神病薬というタイプの薬を開始します。抗精神病薬には脳のドパミン受容体をブロックする作用があります。統合失調症では一部のドパミン神経系が過剰に興奮してしまい、そのために幻覚や妄想、興奮などの陽性症状が出ます。抗精神病薬はドパミン神経系の過剰な興奮を抑えることで症状を改善するのです。

統合失調症の症状についてはこちら

抗精神病薬は定型抗精神病薬(第一世代)と非定型抗精神病薬(第二世代)に大別されます。

抗精神病薬についてはこちらで詳しく解説します

定型抗精神病薬はパーキンソニズムなどの副作用が出やすく、長期的に続けていくことが難しい場合があります。このため、まずは非定型抗精神病薬から使うことが推奨されています。非定型抗精神病薬には、ブレクスピプラゾール、アリピプラゾール、オランザピン、リスペリドン、パリペリドン、ブロナンセリン、ペロスピロンなどがあります。抗精神病薬にはある程度の即効性があるのですが、効果がしっかりと出てくるのは2−4週間かかります。

統合失調症の薬物療法は、外来に通院しながら行うことができます。この際は、病院やクリニックで処方された薬を自宅で内服して治療します。しかし、陽性症状が強く、妄想によって危険な行動を起こしてしまったり、興奮して誰かと喧嘩してしまったりするような場合ですと、自宅で治療することが難しくなりますから入院治療を考えます。また、統合失調症は本人が病気じゃないと思い込むことも多いですから、治療を拒否する場合も少なくありません。この場合は、医療保護入院といって、本人の代わりに家族などから同意を得て入院させることがあります。

統合失調症の陽性症状がある程度落ち着いたら、再発予防の治療、いわゆる維持療法に移っていきます。統合失調症は5年以内に8割ほどが陽性症状を再発してしまうという統計があります。再発すると病状が一気に悪化し、その後に回復が難しいこともあるので、できるだけ再発を防ぐことが重要です。

抗精神病薬には症状の再発を防ぐ効果があるので、薬を続けることで再発を予防します。大事なのは、薬を飲み忘れないこと、勝手に減らしたりやめたりしないことです。薬を減らしたり中断してしまったりすると、再発のリスクが高まります。ただ、なかなか毎日薬を飲み続けるのは大変ですし、たくさんの人が飲み忘れてしまうのが現実です。

毎日毎日薬を飲むことに抵抗を感じる人も多いと思います。もし、毎日内服することが難しければ、数週間に一度注射する方法もあります。一度注射すると数週間にわたって効果が続く、持効性注射剤(デポ剤)というタイプの注射剤があります。これなら、数週間に一度薬を注射すれば、薬を飲む必要がなくなります。持効性注射剤を使う方が、将来的に入院するほど症状が酷くなる可能性を減らせるというデータもあり、再発予防の手段として有効です。毎日きちんと薬を使えない場合は、持効性注射剤を使った再発予防法も考えてみましょう。

統合失調症の人の中には、通常の抗精神病薬が効かない人もいて、治療抵抗性統合失調症と呼ばれます。この場合はクロザピンという薬の使用を考えます。

クロザピンは治療抵抗性の統合失調症に対して有効というデータがあり、抗精神病薬を何種類か使っても効果が出ない場合は、クロザピンの使用を検討します。クロザピンはパーキンソニズムなどの副作用は出にくいのですが、無顆粒球症という血液の細胞が少なくなる副作用や、心筋炎という心臓の病気になるリスクがあります。これらは投与初期に出現することが多いです。無顆粒球症も心筋炎も危険な副作用ですから、クロザピンを使う場合は血液検査や心電図検査などを行いながら慎重に使います。

その他、治療抵抗性統合失調症には、修正型電気けいれん療法という頭に電気を流す治療も行われます。ただし、治療抵抗性統合失調症の治療にはクロザピンの方がデータがしっかりとあるため、ガイドラインでは修正型電気けいれん療法よりもクロザピンの方を、より推奨しています。

統合失調症の陽性症状は薬物による治療が有効ですが、陰性症状や認知機能障害に対する治療は、まだなかなか良いものがありません。陰性症状や認知機能障害が強いと、日常生活への支障が生じます。これらの治療では、薬物療法だけでは不十分なため、リハビリテーション作業療法などが行われています。これらは心理社会的治療とも呼びます。精神科病院やデイケアなどで、こうした心理社会的治療を受けることができます。

また、就労、就職に向けた福祉サービスにも、心理社会的治療の側面があります。統合失調症を抱えながら働くことは時に困難を伴いますが、各地域の役所や生活支援センター、ハローワークなどで仕事、就職の相談に乗ってもらえます。また、仕事をする準備・訓練として、職業訓練、就労移行支援などを行なっている施設もあります。

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参考文献・サイト:

統合失調症薬物治療ガイドライン(2017改訂)日本神経精神薬理学会

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