身体表現性障害の治療について説明します


このページについて:身体表現性障害の治療について文献を元に説明します。身体表現性障害には精神療法が有効であり、新規の抗うつ薬の効果も期待できます。


身体表現性障害は、医学的に説明のつかない身体症状が何ヶ月も持続する精神疾患です。例えば、体のどこかが半年も痛み続けているけど、いくつかの病院で検査しても「異常ありません」と言われるようなケースです。どこにも異常がないはずなのに、痛みは続き、本人は苦しんだり、不安に思ったりします。実は、心理的な葛藤やストレスから体に症状が出ているため、医学的検査で異常が見つからないわけです。

最近では、体に痛みなどの身体症状が出る場合を身体症状症と呼び、体が動かなくなる、痙攣する、声が出なくなる、体の感覚が麻痺するというように、運動機能または感覚機能の異常が出る場合を転換性障害(変換症)と呼びます。ただ、どちらもメカニズムは同じと考えられ、同じタイプの精神疾患に分類されています。要は、心の症状が体の症状を作っているわけです。

しかし、実際の身体の病気を身体表現性障害と誤診しては大変ですから、身体表現性障害と診断する前に、しっかりと身体の検査を行い、身体の病気ではないことを確認する必要があります。しかし、この時にどこまで検査するのかよく問題になります。

医療の世界は日進月歩で進化しており、次々に高度な検査が開発されています。古い検査法では異常が出なくても、新たな検査法で異常が見つかることもあります。検査の精度が低いと、検査で異常が無いからといって本当に身体に異常がないと断言できません。しかし、最先端の高度な検査は高額ですし、身体に負担をかける検査もあります。考えうる検査を全て行うのは現実的に難しいでしょう。だからと言って、本当は体の病気なのに、心の病気だと誤診してしまうことも避けねばなりません。

実は、当初は身体表現性障害と診断されても、後に検査で身体の異常が見つかることはよくあります。絶対に体の病気が無いと断言するのは、非常に難しいことなのです。

身体表現性障害の治療は、なかなか研究が進んでいない分野です。薬物療法では、SSRIなどの新規抗うつ薬が有効だという報告もあるようですが、まだデータがあまり豊富ではありません。

一方で、身体表現性障害に精神療法(心理療法)が有効という研究データは豊富にあるようです。最もデータがしっかりしているのが、認知行動療法という精神療法です。認知行動療法は、偏った考え方を見直したり、行動を変えたりする精神療法の一種です。ただし、この他にも精神療法は色々とあります。もしも身体症状の背景に心理的要因がありそうな場合は、まずは精神療法から治療を始めるのが良いと思います。

参考文献:

#身体表現性障害

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