• 斎藤 知之

甲状腺と精神疾患


このぺーじについて:甲状腺はホルモンを出す臓器ですが、精神疾患との関りが非常に強いです。また最近は、免疫学的にも甲状腺と精神疾患が関係すると言われています。


甲状腺とは、喉のあたりにある組織で、甲状腺ホルモンを分泌しています。甲状腺ホルモンには代謝を促進するなどの働きがあり、血液検査で測定することができます。検査項目でいうとFT3、FT4です。

また、TSHという脳の下垂体から放出されるホルモンも関係します。TSHは甲状腺ホルモンを促進する役割を持ち、甲状腺の機能が低下したときに分泌が増え、甲状腺の機能が活発になると分泌が減るという特徴があります。

FT3、FT4、TSHをまとめて測定することで、甲状腺の働き、機能を評価することができます。

甲状腺ホルモンは体に必要なものですが、病気によって過剰に増えたり、不足したりすることがあります。甲状腺ホルモンは多すぎても、少なすぎても、様々な異常が出ます。

甲状腺ホルモンが多すぎる場合を甲状腺機能亢進症と呼びます。甲状腺ホルモンが多すぎると、動悸や眼球が前に突出するなどの症状が出ます。

甲状腺ホルモンが少なすぎる場合を甲状腺機能低下症と呼びます。この場合は、活気がなくなり、むくみやだるさなどの症状が出ます。

甲状腺ホルモンが増えたり減ったりすると、精神的にも不安定になることが知られています。この場合、甲状腺ホルモンを調整する薬などで治療すれば、改善します。例えば、甲状腺ホルモンが少ないために抑うつ症状が出ている場合には、甲状腺ホルモンを補充する薬を使うことで、抑うつ症状の改善が見込めます。

甲状腺ホルモンが異常値となる原因は様々ですが、多くは免疫の異常が原因です。自分の免疫が甲状腺を攻撃してしまうのです。この病気を自己免疫性甲状腺炎と呼びます。

免疫は本来、ウイルスや細菌などを攻撃するものですが、病気により自分自身を攻撃してしまうことがあります。この病気を自己免疫性疾患と言います。自己免疫性甲状腺炎は自己免疫性疾患の一種です。

自己免疫性甲状腺炎は、不安障害やうつ病、双極性障害、統合失調症などの精神疾患と関係することが知られています。

自己免疫性甲状腺炎になると、甲状腺ホルモンが異常値となり、様々な精神症状を引き起こすことがあります。しかし、甲状腺ホルモンが正常値でも、自己免疫性甲状腺炎になると精神症状が出やすいという研究結果が報告されています。

自己免疫性甲状腺炎と不安、抑うつの研究論文はこちらで紹介

甲状腺ホルモンが正常値なのに精神症状が出るメカニズムとして、なんらかの免疫の異常が精神症状に関係しているのではないかと考えられていますが、まだ解明されていません。このあたりは、今後の研究に期待です。


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