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自閉症スペクトラムの専門家を育てる


このページについて:自閉症スペクトラムの子供たちを育てる専門家を育成する意義を調べた研究を紹介します。


自閉症スペクトラムとは、コミュニケーションが苦手であったり、表情や感情を読み取ることが苦手だったりという傾向がある人々のことを言います。他にも、一つのことに興味が集中するなど、色々な特徴が知られています。かなり広い概念で、知能が高い低いに関係なく、こうした傾向が強い人を全て含む言い方です。

まだ薬で自閉症スペクトラムを治療する方法は確立されていません。その代わり、幼いうちから、リハビリやトレーニングのような方法で、相手の感情を読む練習をしたり、コミュニケーションの練習をするなどのプログラムがあります。育成や教育と言っても良いと思います。

日本でも療育センターなどの公共施設で、自閉症スペクトラムの子供たちの苦手な行動を改善する、育成プログラムが実施されています。

こうしたプログラムには専門家がつくわけですが、その専門家の育成も課題の一つです。今回は、患者さんの治療ではなくて、専門家の育成についてのアメリカの研究があったので紹介します。

この研究で使われたのは、5-13歳の自閉症スペクトラムの子供向けのプログラムです。先ほど言ったように、自閉症スペクトラムの子供たちが苦手なコミュニケーションスキルなどを伸ばすもので、親も参加するようです。

このプログラムを専門家が学ぶトレーニングが半年に渡り実施されました。トレーニングの内容としては、ワークショップ(参加者が動く形式の実践的な講義のことです)やミーティング、ケーススタディ(こういう場合はどうするなどと具体的に考える学習スタイルです)などがあります。日本では座って聞くタイプの講義、いわゆる座学が中心の学習スタイルが多いですが、このやり方は参加者がアクティブに動く形式という特徴がうかがえます。いわゆるアクティブ・ラーニングですね。

トレーニングを受けて子供たちのプログラムにあたった専門家と、通常のやり方で子供たちのプログラムにあたった専門家とを比較したところ、このトレーニングを受けた側の方が、子供たちの治療効果が高かったとのことです。つまり、子供たちの自閉症としての苦手さが、より改善したという結果でした。

つまり、専門家がしっかりトレーニングを受けると、子供たちにもメリットがあるという結果です。

やはり、専門家もしっかりと学ぶことが大事だと言えますね。また、能動的、積極的に動くタイプの勉強方法、アクティブ・ラーニングが有効だという解釈もできる研究でした。

引用文献:Lauren Brookman-Frazee et al. Effectiveness of Training Therapists to Deliver An Individualized Mental Health Intervention for Children With ASD in Publicly Funded Mental Health Services: A Cluster Randomized Clinical Trial. JAMA Psychiatry. 2019.

#発達障害

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