よりどころメンタル

精神科のガイドラインとは?

医学・医療には根拠がありますが、その程度には幅があります。一番しっかりとした根拠は、臨床試験・臨床研究(治験など)の統計学的なデータがあるものです。

 

しかし、臨床試験を行うには巨額の資金と多くの人の協力が必要で、時間もかかりますので簡単にはできません。臨床試験のデータがない場合は、基礎研究や医師としての臨床経験から仮説を立て、その仮説を元に診療を行うこともあります。これはあくまで仮説なので、根拠としては弱いです。もちろん、いくら仮説レベルと言っても、当てずっぽうや適当な思いつきなどではありません。現在得られている知識・情報に基づき専門家がしっかりと論理的に考えて仮説を立てます。当然、仮説を考えた理由があり、根拠、論拠があるわけです。こうした専門家の意見もエビデンスの一部に含まれます。ただ、客観的な反証も難しいので、エビデンスとしてのレベルは低くなります。

このように、医学的な根拠とは幅のあるものです。もし、自分が病院に行ったとき、診断や治療にどの程度の根拠があるかは気になりますよね。当然、患者さんには知る権利がありますし、医療機関としては説明する義務があります。説明し同意を得てから治療を受けることをインフォームド・コンセントと呼びますが、今やインフォームド・コンセントは医療の常識ですから、精神科でも同じ事が言えます。もし、あなたが精神科やメンタルクリニック、心療内科などに受診する時は、診断、治療にどの程度の根拠があるのか、科学的エビデンスとしてはどのくらいのレベルなのか、簡単で良いので説明を受けて下さい。せめて、自分が受ける診療については知っておいた方が良いと思います。​

さらに知りたい場合は、学会が発行するガイドラインを読むと良いかもしれません。診療のガイドラインとは、どのように疾患を評価し、どのように治療するのかを示しており、いわば医者の教科書のような存在です。また、一つ一つの診療行為について、どの程度のエビデンスに基づいているのかも公表しています。エビデンス・レベルという言い方をしますが、根拠の強さ・確からしさを数字やアルファベットでランク付けしているのです。診療のガイドラインは医療の専門家向けの資料ですから、読んでも分かりにくいと思いますが、ざっと目を通すだけでも理解が深まるかもしれません。

なお、よりどころメンタルのブログでは、精神疾患の治療について、こうしたガイドラインを引用しながら解説しています。よろしければ、ご覧ください。

日本のガイドライン

うつ病の診療ガイドライン(日本うつ病学会, 2016)

双極性障害の診療ガイドライン(日本うつ病学会, 2017)

統合失調症薬物治療ガイドライン(日本神経精神薬理学会, 2015, 2017改訂)

BPSD(認知症に伴う異常行動・精神症状)に対応する向精神薬使用ガイドライン(厚生労働省, 2015)

国際的ガイドライン

米国精神医学会のガイドライン

世界生物学的精神医学会のガイドライン

英国国立医療技術評価機構のガイドライン