抗うつ薬と仕事のパフォーマンス



今回は抗うつ薬と脳の働き、パフォーマンスの関係を調べた研究を紹介します。


うつ病になると、集中力が衰えたり、判断力が低下したりします。集中して考える、情報を処理するといった脳の知的な働きを認知機能と言います。うつ病になると、この認知機能が低下するわけです。


これは頭を使って働いている人にとっては、非常に困る症状です。うつ病のせいでミスが増えたり、仕事が遅くなったり、判断力がにぶくなったりするので、仕事のパフォーマンスが大きく低下してしまいます。


そこで、うつ病の治療では、単に気持ちや感情を改善するだけではなく、認知機能の改善、脳のパフォーマンスの改善も目標になるのです。


今回は、うつ病の治療薬(抗うつ薬)の中で認知機能に効果があるものを探す研究を紹介します。


引用文献

A Network Meta-Analysis Comparing Effects of Various Antidepressant Classes on the Digit Symbol Substitution Test (DSST) as a Measure of Cognitive Dysfunction in Patients with Major Depressive Disorder. Int J Neuropsychopharmacol. 2018.


これは、さまざまな研究論文を統合して調べるメタ解析というものです。治療薬は無作為化対照試験というもので効果を調べますが、今回は「Digit Symbol Substitution Test」という認知機能のテストを使った12の無作為化対照試験の結果が集められました。


うつ病の治療薬にはSSRIやSNRI、三環系抗うつ薬などいくつか種類があります。この結果、ボルチオキセチンという抗うつ薬が「Digit Symbol Substitution Test」の結果を改善したことが分かりました。残念ながら、ボルチオキセチン以外の抗うつ薬は認知機能を改善しなかったようで、この薬が唯一という結果でした。


先ほども言ったように、認知機能が改善するということは脳のパフォーマンスが改善するということなので、頭を使う系の仕事をしている人には嬉しい話です。


まあ、調べ方の問題もあるかもしれませんし、他の認知機能の評価の方法もあるので、この研究結果が絶対とは言えません。ただ、ボルチオキセチンは眠気の副作用が出にくいとも言われます。眠いと仕事しにくいですからね。ボルチオキセチンは、仕事をする人にとっては便利な薬なのかもしれません。

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