深い睡眠と脳脊髄液

今回は睡眠科学に関する論文をご紹介します。


人間は眠らないといけない動物です。個人差は大きいでしょうが、大体7-8時間くらいの睡眠が一般的だと思います。


眠っている間は脳や体に色々な変化が見られます。これにより、睡眠をいくつかの種類に分類できます。


代表的なのはレム睡眠。レムとは、Rapid Eye Movement (REM)の略で、眼球が素早く動くため、こう名付けられました。夢は基本的にレム睡眠の間に発生します。これに対してレム睡眠でないのを、ノンレム睡眠と言います。


ノンレム睡眠も大きく2つに分かれますが、これには脳波を使います。


脳波計という頭の電気を読み取る機械を頭につけると、脳波という脳の電気的な活動が分かります。機械で測定すると、心電図のように、波状の線で表示されます。


睡眠中は色々な脳波が見られます。大きな振幅のゆっくりした波や突発的な波などがありますが、こうした脳波を目印にして、睡眠をいくつかの種類に分類できます。


ノンレム睡眠は、脳波が比較的平坦な形状を示す浅い睡眠と、大きな振幅のゆっくりした波が出る深い睡眠に分けられます。このゆっくりした脳波を、そのままスロー・ウェイブ (Slow Wave)と言います。日本語訳は徐波ですが、徐波よりも、スローウェイブの方が分かりやすいですね。


今回は睡眠中のスローウェイブについて調べた研究をご紹介します。


この研究では、脳脊髄液の流れを調べています。脳脊髄液とは脳や脊髄を囲む体液のことです。脳脊髄液は脳に直接触れる部分ですから、脳との関わりが強いんですね。


これまでに、睡眠は脳脊髄液の老廃物を代謝する作用があることが分かっています。睡眠と脳脊髄液は密に関係しているわけです。


この研究では、睡眠中の脳脊髄液の流れと脳波を同時に調べたそうですが、なんと、スローウェイブが脳脊髄液の流れと一致しているという結果が出たそうです。


もしかすると、スローウェイブが脳脊髄液の代謝と関係しているのかもしれません。もしそうなら、スローウェイブが無ければ脳脊髄液が代謝されず、老廃物が溜まり続けてしまうかも。


睡眠中のスローウェイブは、睡眠が深くならないと出現しません。スローウェイブを出すには、深く眠るしかないのです。


そもそも、深い睡眠には記憶の固定など大事な役割があることが分かっています。


どうやら、長く眠るだけでなく深く眠ることも大切みたいですね。


引用文献:Coupled electrophysiological, hemodynamic, and cerebrospinal fluid oscillations in human sleep. Science. 2019.

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