ルラシドンの双極うつへの有効性

今回は双極性障害の治療薬の論文を紹介します。


双極性障害の治療の総論はこちら

双極性障害とは、うつ状態(うつ病エピソード)を繰り返す病気で、一生のうちに何度も気分が落ち込んだり、意欲が出なくなったり、頭が回らなくなることがあります。普通は嫌なことがあって落ち込んでも数日で回復するものですが、双極性障害の場合は何週間、何ヶ月と続きます。また、かなり元気で活動的な躁状態になることもあります。うつ状態と躁状態の二つがあるので双極性というわけです。


双極性障害の治療薬はいろいろあり、用途によって使い分けます。今回は双極性障害のうつ状態の治療薬についての研究論文を紹介します。


Lurasidone compared to other atypical antipsychotic monotherapies for bipolar depression: A systematic review and network meta-analysis. World J Biol Psychiatry. 2018.


引用する論文はメタ解析という複数の研究論文を合算して統計をとったものです。こうすればデータ量が多くなるので、それだけ確実性が高くなります。


最近、双極性障害のうつ状態では非定型抗精神病薬というタイプの薬を使うことが多いです。非定型抗精神病薬とは脳のセロトニン系神経回路やドパミン系神経回路に作用して気持ちを安定させる薬で、統合失調症やうつ病などの治療にも使われます。


このメタ解析では、ルラシドン、クエチアピン、アリピプラゾール、オランザピン、ジプラシドン(2020年10月時点で日本では未発売)の5種類の非定型抗精神病薬を双極性障害のうつ状態をわずらう患者さんに使用して、有効性と副作用を比べました。


その結果、ルラシドンという薬はアリピプラゾールやジプラシドンよりもうつ状態を治す効果が強いという結果が得られました。また、クエチアピンやオランザピンの効果はルラシドンと差がありませんでした。つまり、効果ではルラシドン、クエチアピン、オランザピンが並ぶわけですね。


この中でクエチアピンやオランザピンは体重が増える副作用が有名です。特にオランザピンは体重が増えやすく、糖尿病など生活習慣病のリスクを高める副作用があります。ここでも体重についての副作用が比べられました。その結果、ルラシドンはクエチアピンやオランザピンよりも体重増加の副作用が少ないことが分かりました。これは良いことですね。


また、薬を中断した確率は、どの薬も差がありませんでした。そもそも非定型抗精神病薬は副作用が少ない方なのです。


さて、今回の結果ではルラシドンの効果が優れており、副作用も少ないという結果でした。一つの研究結果を過剰に信じるのはよくありませんが、ルラシドンは悪い薬では無さそうですね。

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