若者のうつ病の治療

今回は若者のうつ病の治療について、海外の文献を取り上げます。


うつ病は、幅広い年齢で見られる病気です。若い人でも中年の方でも高齢者でも、うつ病になる可能性があります。


ただし、それぞれの年代で病気のメカニズムは違う可能性があり、最適な治療法も異なるかもしれないのです。


特に若者のうつ病の治療については、慎重に考えないといけません。うつ病の治療薬である抗うつ薬を若者に投与すると、自殺するリスクが上昇するという報告があるからです。


うつ病の治療は薬を使うだけではありません。精神療法という薬を使わない治療もあるのです。例えば、認知行動療法という精神療法が有名ですが、これもうつ病の治療に有効です。


それでは、認知行動療法だけで治療するのと、認知行動療法と薬物療法を組み合わせるのと、どちらが有効なのでしょうか。普通に考えると、組み合わせた方が効果的な気がしますが、本当にそうでしょうか。


今回は、この疑問を調べた研究をご紹介します。うつ病になった若者を、認知行動療法で治療した場合と、認知行動療法にフルオキセチンという抗うつ薬を組み合わせた場合を比べました。フルオキセチンは日本では販売されていませんが、SSRIという種類の抗うつ薬で、海外ではよく使われます。


この研究に参加したのは、15歳から25歳という年齢の若者です。皆が中等度から重症のうつ病を患っています。軽症のうつ病は除外されています。


全員が12週間、認知行動療法を受けます。ただし、1つのグループはフルオキセチンによる治療も同時に行います。もう1つのグループはプラセボという偽物の薬を使います。飲んでいる人は偽物の薬ということを知りません。どちらのグループになるかは、ランダムに決まります。こういう手法により、グループごとの偏りを無くすのです。


さて、この結果ですが、なんと、両者に差は無いという結果が出ました。つまり、認知行動療法によって治療するなら、抗うつ薬を使っても使わなくても治療効果は変わらないのです。それなら、薬を使わない方が良いですよね。


もう少し調べると、不安症状が強い場合と年齢がより高い場合は、抗うつ薬を組み合わせる方が良いかもしれないという結果でした。


やはり、若者、特に10代にはなるべく抗うつ薬を使わずに、精神療法だけで治療する方が良さそうですね。日本では最近、子供に向精神薬を使いすぎているのではないかという社会問題があります。この研究結果は良い判断材料かもしれません。


引用文献:The addition of fluoxetine to cognitive behavioural therapy for youth depression (YoDA-C): a randomised, double-blind, placebo-controlled, multicentre clinical trial. Lancet Psychiatry. 2019.

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