TMS治療について

TMS(経頭蓋磁気刺激:Transcranial Magnetic Stimulation)は頭に磁気を当てて脳を刺激する治療法で、薬に代わるうつ病の治療として期待できます。TMSは1985年に開発されて以降、改良が繰り返されてきました。現在、TMSは治療抵抗性うつ病(抗うつ薬の効果が不十分または抗うつ薬が副作用のため使用困難な場合)に対して有効で、安全性も高いことが科学的に実証されており、世界的に普及しています。

​他院に通院中の方で、TMSのみ当院で実施することもできます。ただし、その際は、まずは通院先の主治医にご相談下さい。

​当院の手法

TMSは合計20回(効果不十分の場合は合計30回)の施行が標準になります。一般的には、週5回のペースで施行します。ただし、都合によっては週3回にするなど、頻度を下げることも可能ですので、ご相談下さい。

TMSには様々な製品と手法があります。当院ではMagVenture社のMagPro(日本での発売元:インターリハ株式会社)を用いた間欠的シータバースト刺激(iTBS: intermittent theta burst stimulation)という手法で治療しています。従来の手法は1回約40分でしたが、iTBSは3分で従来の手法と同等の効果を持つことが臨床研究により明らかになっています(Blumberger et al. Lancet. 2018)。

 

当院では効果を高めるため3分×2回の6分でiTBSを実施していますが、従来手法より治療時間が短いため、患者様の負担軽減が期待できます。アメリカでは、2018年にFDA(アメリカ食品医薬品局)がiTBSの有効性・安全性を認め、公的に承認しました。しかし、現在のところ、日本でiTBSはまだ公的に承認されておらず、保険適応外となっています。

効果

抗うつ薬が十分に効かなかったうつ病の患者さんにTMSを行うと、約50%の確率で抑うつ症状が半分以下になり、約30%の確率で症状が殆ど無くなる寛解という状態まで回復するというデータが出ています(Milev et al. Can J Psychiatry. 2016)。個人差はありますが、1週間程度でTMSの効果が出始める傾向にあります(Kaster et al. Am J Psychiatry. 2019)。なお、TMSによりうつ病が改善した後は、再発予防として心理カウンセリングや薬物療法を行うことがあります。

副作用

TMSは実施時に刺激部分が痛みますので、ご了承下さい(個人差はありますが痛みを気にする方は多いです)。けいれん発作等の重篤な副作用は0.01%以下とされており、極めてまれです。総合的に見ると、TMSは薬物療法よりも安全性が高いことが分かっています。

TMSを受けられない場合

次に該当する方は、安全のため当院でTMSを受けることができません。①頭部に金属がある、②ペースメーカー使用中、③体内埋設型投薬ポンプ使用中、④磁力装着する義歯・インプラントを使用中(磁力装着でなければ大丈夫です)、⑤過去にてんかん・けいれん発作がある、⑥脳腫瘍・脳梗塞等の頭蓋内病変がある、⑦けいれん閾値が低下する薬物を使用中、⑧アルコール・カフェイン・覚せい剤の乱用・離脱時、⑨妊娠中、⑩重篤な身体疾患(重度心不全・肝不全など)がある。

費用

当院のTMSは保険適応外(保険証使用不可)のため全額自己負担となり、1回4,500円(税込4,950円)、20回90,000円(税込99,000円)の費用がかかります。また、TMSを実施する月は当院で保険証が使えず、別日の診察・処方も全額自己負担になります。なお、TMS終了の翌月からは通常通り保険証が使えますのでご安心下さい。他院での診療でも保険証は使用可能です。


※日本ではNeuronetics社のNeuroStarという器機を用いた約40分の従来手法を一部の病院で行う場合のみ公的保険が適応されます。この場合、3割負担で20回72,000円が通常の診療費に加えて請求されます。

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